2019年9月8日~9日に関東に上陸した台風15号。
この台風で生まれ育った館山、そして南房総全域が被災しました。
停電は千葉県全域に及び、神奈川県沿岸から茨城南部など多くの地域でライフラインの復旧に時間がかかりました。
この教訓を忘れないために、当時の状況をまとめました。
南房総・館山について
千葉県の南部に位置する南房総、館山。
海に面していて釣りや海水浴で賑わう場所です。
そして台風の中継でよくテレビに出るくらい、台風の通り道になっています。
言わば、ある程度「台風慣れ」している土地なのです。
南房総・館山の交通網
館山やその周辺の交通は車がメインです。
電車は内房線という海岸沿いを走る単線が通っています。
道路は自動車専用道路の「館山道」が市の北にある冨浦まで伸びています。
(アクアラインと館山道を使えば都心からも2時間くらいで来れます。)
その他、メインとして国道127号線(かつてはバイパスだった)が、東京湾をぐるっと囲む国道16号の続きで君津辺りから館山まで伸びています。
もうひとつのメインは内陸部を走る国道410号。
山間部を抜ける、お天気のいい日には気持ちのいい道です(でも狭いところもあってちょっと怖い)。
なので、館山へと続くルートは以下の4つです。
(外房周りもあるけど非効率的。あと久里浜~金谷のフェリーもありますが、結局127号に行き着くので割愛)
- 内房線(電車)
- 館山道(自動車専用道路)
- 国道127号
- 国道410号
台風の時、内房線が運休になるのはよくあること。
(台風じゃなくても雨風強いと運休する)
館山道や127号が通行止めになることもよくあります。
それでも翌日には普通に運行し、通行止めも解除されていました(作業員さんありがとうございます)。
でも今回、館山道の通行止めが解除されたのは10日の正午くらい。
それまでほとんど陸の孤島状態になっていました。
内房線は11日時点でまだ運休…。
倒木だったり停電だったりで復旧が進まないようです。
新宿から館山行きの高速バス「なのはな号」は運行しているので、東京の自宅から実家に戻る手段はバスのみ。
館山市内は信号も消えているため大渋滞になったそうです(家族に聞いた)。
台風被害で南房総・館山の地域が困ったこと
この台風被害で生じた問題を箇条書きにしてみました。
- 停電(電柱倒れてた)
- 断水(特にポンプ式)
- 停電で下水処理ができず排水制限
- 家屋の損壊
- 応急処置のビニールシートが足りない(自治体で配布はしてた)
- 停電でエアコンが使えず暑い
- 停電や損壊で店舗が営業できない
- 食料や水が手に入らない
- 買いに行くにも信号が消えていて運転怖い
- 渋滞して事故も起きてる
- ガソリン不足で給油できない
- 携帯の電波が入らない
- なので情報が入手しにくい
- 情報がなくて不安になる
- 被害状況も伝えられない
- 家族と連絡が取れない
- 介護施設も停電
一部の地域では停電が復旧してきたようですが、実家のある地域はまだ停電しています。
というか館山市の半分はまだ停電(11日17時の時点)。
営業を再開したイオンタウンのスーパーは大混雑とツイッターに出ていました。
セブンイレブンの棚も空っぽ。
館山市役所の4号館前に給水車があるものの、車がないと貰いに行くのも難しい。
今回の台風は鉄塔が倒れる程で停電が大規模すぎたというのもありますが、改めて災害に弱い街だと感じました。
情報が入らない不便さ
館山・南房総では今回docomo以外の回線がつながらなくなりました。
docomoも電波が弱いのか途切れ途切れだったりで、ネットからの情報が得られない状況に。
テレビも映らないし、HPやSNSで情報を発信しても見ることができないんですよね。
防災無線や人づて、ラジオ、アナウンスしながら走る車が通ったときに情報を得るくらい。
停電や断水がいつまで続くか分からないという精神的なキツさもある。
ピザー●さんが近所のスーパーで無料でピザを配布しますという情報をツイッターで配信してくれていたけれど、見れない人も多いのでは…(実家には伝えた)。
災害用無料Wi-Fiの00000JAPANも電波が入らないところは入らないです(実家は使えなかった)。
被害をふまえて、これはやっておいた方がいいなと思うことです。
- 少なくとも飲料水は普段から確保しておく
→特に夏は水が飲めないのは辛い。一応2L×3本あるけど…少ないな。実家にはウォーターサーバーがあるので少し安心できました。 - 懐中電灯を家に持っておく
→スマホのライトでもいいけれど電池がもったいない。 - 食料の買い置きも必要
→カップ麺はお湯が沸かせないとアウトなのですぐ食べられるものも多少あるといい。飴とかでもいい。 - カセットコンロ持っておきたい
→ガスが止まっても電気が止まっても使える。 - 汗拭きシート常備
→お風呂に入れない時に。 - ほうきとちり取り置いておく
→ガラスが割れて停電してたら掃除機使えないので。 - 生理用品買い置き
→買いに行けない状況で生理になると悲劇でしかない。 - スマホの充電器充電しておく
→いざというときにほぼ残量がないと泣ける。 - ソーラーパネルのバッテリー持っておく
→実際に活躍してた。
その他にも、赤ちゃんやペットがいるおうちでは、ミルクや衛生用品、フードなど買い置きしておいた方がいいものがあると思います。
「持たない生活」が流行りですが、この災害の多い日本で暮らすなら、今すぐ必要でないものも持っておくべきですね。
被害状況
実家の被害は、仏間が雨漏りで水浸しになったのと、畑の車庫の屋根がなくなった程度でした(シャッターもめくれかえって紐で固定してた)。
前の台風のときはお隣のトタン屋根がサンルームに突き刺さってえらいことになっていたので、長引く停電を除けば今回の方がうちは被害は少なそう。
それでも街全体で見たら私が知る限り30ウン年で過去最大の被害です。
へし折れた電柱、剥がれた看板、あさっての方向を向いている標識、割れたガラス、飛んだ瓦。
そして何より停電が長い…。
子供の頃も台風で停電することはちょいちょいありましたが、丸一日続くことはなかったし、こんなに暑くなかったです。
それだけ今回の台風がすさまじかったんだと思います。
田んぼの稲たちもダメになってしまったのでは…。
早く日常が戻ってほしいです。
テレビで千葉県南部の停電復旧は13日以降になると言っていました。
さらに2週間に延長の発表があり、9月14日の夕方、ようやく実家にも電気が来ました。
それでもまだ市では10,000軒以上が停電。
9月15日18時時点で実家のある地区ではまだ1400軒が停電していました。
長期の停電は災害になる
「台風の被害」と聞くとイメージ的に地震よりも軽い感じがします。
でも、1週間電気が使えない状況は「災害」です。
ポンプ式の水道なら水も出なくなるからトイレも流せないし、暑くても涼めない。
お店も営業できないから食べ物にも困る。
そんな状況下で、熱中症で亡くなってしまった方もいらっしゃいます。
「電気が使えない」
それだけのことでも、丸1日、数日、1週間…と続くとじわじわと被災していくのです。
作業員さんは本当に夜通し頑張ってくださっています。
バスで館山に向かう時も、九州電力の方が羽田に着いてレンタカーで向かっているのでしょう、「わ」ナンバー車両に「災害復旧 九電」と書かれた紙を貼り、千葉方面に向かっていました。
東京に戻る時には列をなした高所作業車にもすれ違いました。
感謝です。
復旧の手配が遅れたのは通信手段を失ったことが大きいと思います。
これは南房総一帯だけでなく、少し離れた地方ではどこにでも起こりえる問題。
5Gになったらますます情報伝達が電波に依存することになると思います。
IoTが進んだその時、インターネットが止まったら…怖い。
義援金をふるさと納税しました
そんな地元、館山に何かできないかと思い、館山をイメージしたTシャツやトートバッグを作り、原価を抜いた売り上げを義援金としてふるさと納税しました。
※館山市の義援金窓口は「ふるさとチョイス」になっています。
グッズ1点につき+300円の募金を設定したところ、12件のご注文をいただきました。
(クレジット決済では決済手数料が5%かかるため285円/1件)
買ってくださった皆さんのお気持ちがとてもうれしいです。
そこに自分の寄付金を加え、ふるさと納税を通じて館山市に寄付させていただきました。
私自身経済的にそこまで余裕があるわけではないのであまりプラスアルファができませんでしたが、少しでも復興に役立ててもらえればと思います。
ちなみに実家にはウォーターサーバーがあると書きましたが、ぶっちゃけお水はウォーターサーバーより2Lのペットボトルで買った方が安いし使い勝手がいいです。
個人的にはそっちの方がいいと思います。
大きなボトルは扱いづらいし、ウォーターサーバーの水はサーバーがレンタル無料であっても2Lで200円以上します。
(ペットボトルは2Lで100円しない。)
あとペットボトルの水は、賞味期限が切れていても未開封なら飲めます。
いざという時の備えの大切さを実感した台風被害でした。