フィンランド語の学習を始めています。
「フィンランド語ってどんな言葉?」
と興味を持っていただいた方に向けて、フィンランド語を全く知らなくても分かりやすいように解説してみました。
フィンランド語は「ウラル諸語」のグループ
ノルウェー、スウェーデン、そしてデンマークなどと並ぶ北欧の国フィンランド。
言葉も似ているのかな?と思いきや、フィンランド語はこれらの国々の言葉とは違い、「ウラル諸語」のグループに属します。
ウラル諸語はラテン系の語源とは異なるので、文法や単語がかなり異なります。同じウラル諸語のグループには、ハンガリー語やお隣のエストニア語などがあります。
ドイツ語やスペイン語、フランス語は同じラテン系のグループなので英語からうっすら推測できることもあるのですが、フィンランド語は全く別系統の言語なので、外来語以外は単語がぶっ飛んで分かりません(笑)
フィンランド語を話す人々
フィンランド語はフィンランドの公用語で、話者は500万人弱です。
ちなみにフィンランドの公用語はフィンランド語の他にスウェーデン語があります。
1917年12月6日に独立を宣言したフィンランド。それまではスウェーデンとロシアの統治下にありました。
スウェーデン語が公用語なのもそんな歴史的背景があるのかもしれません。
ちなみにフィンランドの方々は英語が流暢な方がとても多いです。
フィンランド語の特徴
少し背景が長くなりましたが、言語としての特徴を以下に紹介していきます。
フィンランド語の母音は8つ
まずはフィンランド語の母音を紹介します。
a ア
e エ
i イ
u ウ
o オ
y ウュ
ä アェ
ö オェ
yを「ユ」と呼んでしまいそうですが、yは母音です。
「ウ」と同時に「ユ」を発音する感じに発音します。
ほぼローマ字読みができる
これは日本人にはありがたいポイントなのですが、フィンランド語は書いてある通りにだいたい読めます。
- sauna サウナ(サウナ)
- Japanilainen ヤパニライネン(日本人)
- haluaisin ハルアイシン(~がしたい)
「r」を強めの巻き舌で発音する必要があるのですが、読むのはすぐにできます。
冠詞がない
これも日本人にはうれしいポイント。
英語だと「a book」なのか「the book」なのか、意味に応じて使い分けが必要です。
しかーし!
フィンランド語では「Kirja(キルヤ)」でOKです。
女性名詞・男性名詞がない
ラテン系の言葉には男性名詞や女性名詞があり、その違いで冠詞や語尾が異なることがあります。
フィンランド語には名詞にも人称代名詞にも性別による違いがありません。
「hän」で「he」も「she」も示すことができます。フィンランドの男女平等の歴史も言葉に影響しているのかもしれませんね。
アクセントは常に先頭
フィンランド語の単語の発音は、アクセントが常に先頭に来ます。
英語だと先頭だったり、真ん中だったり、同じ単語でもアクセントの位置で動詞になったり名詞になったり…とアクセントが違うことで意味が通じないこともありますが、フィンランド語は常に単語の頭を強く読めばOK。
また、疑問文で語尾を上げないのも特徴です。
先頭の単語の最後に「ko」がついていたら疑問文
フィンランド後では疑問文にするときに「ko」を付けます。
- Puhutko englantia?(プフトゥコ エングランティア)
英語を話しますか?
puhut<puhua (あなたは)話す
疑問文では英語のwhat, when, where, why, howなどに該当する単語もありますが、「~ko」で始まると「~」の内容を聞いているんだな、と分かります。
日本語と英語の中間のような文法
フィンランド語を勉強していると、日本語のような表現と英語の表現を足して2で割ったみたいだなと思うことがあります。
例えば、「koulu(コウル)」は学校という意味の単語ですが、次のように用法に合わせて語尾が変化します。
- 学校へ kouluun(コウルウン)
- 学校で koulussa(コウルッサ)
- 学校から koulusta(コウルスタ)
ただ、「学校へ行く(通っている)」という時は、
- Minä käyn koulussa.
=I go to school.
となり、英語のような語順になります。
日本語でそのまま言うと「私は通っているよ、学校へ」みたいな感じですね。
単語の格変化が多い
上記でもご紹介したように、フィンランド語の単語は語尾がほぼほぼ変わります。
そのため、フィンランド語をマスターする上での壁は「格変化」であると断言します。
動詞は人称代名詞に合わせて6通りの格(単数形の人称代名詞3・複数形の人称代名詞3)に変化するし、名詞・形容詞に至っては15種類ほどの格変化があります。
しかもその変化に加え、子音の「t」が「d」になったり「lt」が「ll」になったり、「nk」が「ng」になったりという「子音交替」により階程(かいてい)が変わります。
※階程:音の調子、響きの強さのレベル
中には不規則に変化する単語もあり、初めはこのルールに大変悩まされます。
なんてこったい!
フィンランド語はむずかしい?
フィンランド語はその活用変化の複雑さから難しい言語であると言われています。
実際にフィンランド語を学習していると、英語のなんとシンプルなことよ…と思えてきます。
ただ、格変化さえ慣れてしまえば後は語彙力との勝負。
自分で話すことは難しくても、1ヶ月くらい取り組めば簡単な文章を読んだり、書いてある意味を推測することができるようになります。
今まで意味不明だった言語が読めたり、聞き取れた瞬間ってすごくうれしいです。
フィンランド語に興味がある方はぜひこの格変化の森に迷い込んでみてください。