「ロッシーニ・タワー」という料理を知っていますか?
その名の通り作曲家ロッシーニに由来し、美食家でもあった彼が考案した料理のひとつです。
フォアグラと牛、鶏、豚が折り重なるその姿はまさに圧巻。
そんな贅沢な一皿を、吉祥寺のビストロでいただいてきました。
ロッシーニ・タワーが食べられる吉祥寺のビストロ「元ゴブラン」
ロッシーニ・タワーを提供するお店は都内に数十店舗ありますが、そのひとつがこちら、「元ゴブラン」。
吉祥寺駅から北に徒歩15分ほど、旧五日市街道沿いにあります。
「元」がついているのは、以前は「ゴブラン」としてビストロカフェを営業されていたところ、再オープンしたためです。
2022年1月に完全予約制の「元ゴブラン」として営業を再開されたこちらのお店ですが、私はゴブラン時代を知らず、今回が初来店。
完全予約制のフランス料理店と聞くと少し尻込みしてしまいますが、店内は程よい落ち着きのある雰囲気で、それほどかしこまらなくてもいい空気があります。
とはいえテーブルセットに素敵なドライフラワーがあったり、空間の演出がエレガント。気持ちが晴れやかになります。
ちなみに「ゴブラン」はオーナーさんがフランスで修行中によく利用していた駅の名前だそうです。
ワインフロー(ワインの飲み放題)がある
元ゴブランさんの利用は完全予約制です(予約はコチラ)。
予約の際、なんとドリンクオプションとしてワインフロー、つまりワイン飲み放題プランをつけることができます。
常時30種類以上のワインを取り揃えているとのことで、ワイン好きの人はより楽しめそうですね。
なお、私はアルコールが得意ではないのでフリーソフトドリンクをチョイス。
ノンアルでもペリエや贅沢なストレート果汁100%ジュースをいただけます。
もちろん単品でもワイン、ソフトドリンクともに注文できます。
季節のコースの料理の内容
では、いよいよお料理です。
まずはアミューズ。
アミューズはその日によって変わり、本日のご用意は「プロシュート」でした。
生ハムとチーズのミルフィーユにキャビアがトッピングされ、ハムとチーズのバランスが最高。いい塩梅に舌を刺激され、食欲を掻き立てられます。
おすすめされたワインは「Mastio Loggia(シャンパン)」。ワインは自分で選ぶこともできますが、おすすめを提供していただくこともできるので、何が合うか分からなくても安心です。
続いて前菜は「トマトと旬野菜のファルシ 玉手箱風」。
トマトをくり抜いた中に野菜のジュレを詰めたものを玉手箱に見立てたもの。上からパプリカのソースがかけられています。
カブ(?)に見立てたポテトサラダとグリーンもこじゃれてます。
赤いソースはトマトで、緑のソースはグリーンピース。
青臭さのない美味しいとこどりのソースで、ほんのり暖かい自家製パンと共にいただくとこれまた美味。
パンはなくなると追加してくださいます。
おすすめのワインはイタリアの白ワイン、ALLA COSTIRA。
アミューズの次は前菜「鰹と帆立貝のゼリー寄せ いくら添え」です。
鰹と帆立をコンソメのゼリーでドーム状に閉じ込めたもの。
緑色のソース大葉で、鰹との相性が抜群。
添えられている赤玉ねぎのマリネも甘酸っぱく美味しく、かつ酸味がきつすぎず、ますます食欲が掻き立てられました。
おすすめのワインはスペインの白、Protocolo。鰹などの強めの味に合うんだそうです。
断面はこんな感じ。
帆立と鰹をゼリーで閉じ込めるなんて…食の芸術ですね。
続いてスープです。
初夏の6月ということもあり、「冷製コーンポタージュ」。
生クリームのシャンティ(生クリームを軽く立てたもの)をスープに重ね、とうもろこしのピューレが浮かべられています。
飲み方はそのままでもスプーンですくっても。
軽く混ぜて飲んでみると、冷たいコーンスープはコーンの甘みたっぷり。シャンティのふんわりかつ濃厚な味わいが、心地よいコーンの荒ごし感と口の中で合わさり、幸せな気持ちになりました。
そしてお料理は魚料理へ。
「真鯛のエフィロシェ うに添え」です。昆布締めにした真鯛をオリーブとともにタルタル風に。
下にはズッキーニが敷かれていました。
白ワインのソースがクリーミーかつさわやかで、残ったソースにパンを付けて食べたらこれまた絶品。
個人的に、苦手なはずのウニも美味しかったのが驚きです。(今まで食べたことのあるウニがよくなかったのか…?)
さて、ここで一旦お口直し。
「グラニテ」としてぶどうのソルベを出していただきました。
フランス料理のコースって一度こういったお口直しを挟みますよね。
このお花の小箱で供するあたりがなんとももう…素敵…。
ソルベは果汁が濃厚でありつつさっぱりと食べられ、見事に口の中がリセットされました。
ここで私は桃のジュースを。
桃果汁100%の贅沢な味わいに思わず笑みがこぼれました。
これがロッシーニ・タワーだ!
そしていよいよメインの肉料理。
通常の季節のコースでは2022年6月は「牛ミスジのグリエ 色とりどりの2色のソースで」とありますが、今回は名物のロッシーニタワーに変更。
どうでしょう、圧巻です。
タワーの階層は上から順に、
・フォアグラ
・ビーフステーキ
・チキングリル(ハーブ風味)
・ポークグリル
・ポテトのグラタン
と重ねられています。
※焼き方などで表現が異なったらすみません。
お野菜も添えられ、上からかけられているのはペリグーソース。
最上階に鎮座するフォアグラとステーキの組み合わせは言うまでもなく、それぞれのお肉の美味しさを感じられるタワーでした。
本当にロッシーニさん、よくこんな料理を思い付いたものです!
おすすめのワインはやはりお肉と言うことでチリ産の赤。
AROMO CARMENEREというミディアムボディのワイン。
なお、ワインは店長の井上さんがそれぞれサーブ(料理も)してくださるのですが、ワインの知識が豊富で、ワイン音痴な私でも聞いていて楽しかったです。
デザートはその日によって変わる
そしてメインの後はいよいよデザート。
こちらも日替わりでメニューが変わります。本日のご用意は「桃のムース」でした。
桃のコンポートをスライスして花びら仕立てられていて、なんとも優美。
メロンはなんと夕張メロン。
ソースはマンゴーとラズベリー(?)で、見た目の美しさだけでなくムースとの相性もよく美味しくいただきました。
ムースの中には果肉も。下のスポンジ生地といい、デザートまで洗練されています。
ちなみにこちらのコース、料理のお値段が税・サービス料込で約6000円ほどなのですが、この内容をフランスでいただこうとしたら120€(18,000円弱)は下らないのでは…
日本で、日本語が通じて、リラックスして食べられて、最高の体験です。
最後に、食後のお飲み物。
自家焙煎コーヒー、リーフル社の厳選紅茶、ハーブティーの中から選ぶことができ、私はコーヒーを。ブラジル産の生豆をお店で焙煎したもので、とても飲みやすくミルクなしで美味しかったです(普段ミルク入れる派)。
紅茶はダージリンで、2021年夏摘みのセカンドフラッシュを用意されていました。
添えられたカカオのプチシューも甘さとカカオの風味のバランスが良く、最後まで感動しっぱなしのコースを味わったのでした。
日常使いには敷居の高いお値段ですが、これからもぜひ、記念日や特別な日に利用したいお店です!